大気中に含まれている水蒸気の量を水蒸気量といいます。ある気温のもとで含むことのできる水蒸気量 には限界があり、限界に達した状態を飽和(ほうわ)、飽和状態の水蒸気量 を飽和水蒸気量(ほうわすいじょうきりょう)といいます。飽和水蒸気量 は気温の変化によってきまり、気温が高いほど大きくなります(気温が高いほど大気中に多くの水蒸気を含むことができます)。気温が下がると含まれている水蒸気は飽和に達し、これ以上水蒸気の状態でいられなくなるので、余分な水蒸気は凝結(ぎょうけつ)して水滴へと変化します。

 自然界では、空気が上昇して温度が下がると大気中の水蒸気量は飽和に達し、さらに上昇すると凝結が起こって水滴や氷晶(小さな氷のつぶ)になります。これが雲です。自然界で雲が発生しやすいのは、大気中にたくさん存在するちり(微粒子)が水滴や氷晶の核として働くためです。微粒子には、海水のしぶきによる海塩粒子、地面 から舞い上がった土壌粒子、火山から放出された火山灰、工場や自動車から放出された硫酸(塩)粒子や硝酸(塩)粒子などがあります。

 雲が地面に落ちてこない理由は、雲つぶの直径が約0.01mmとたいへん小さく落下速度がおそいためです。