十二貫野用水
(じゅうにかんのようすい)

地区
黒部・宇奈月
地域区分
旧扇状地・台地
テーマ
2
分野
農業土木

場所
黒部市
所有者・管理者
黒部川左岸土地改良区
電話番号
0765-52-0262
十二貫野用水黒部川と布施川に挟まれた標高約100m〜250mの洪積層の開析扇状地にある十二カ所の集落を総称して十二貫野と呼び、この十二貫野の田畑を潤すための農業用水。
古来、肥沃な土地にも関わらず水の便が悪いため開墾が行われなかったが、加賀藩は財政立て直しや飢饉に苦しむ農民の救済などの理由から、藩直轄の開拓事業である御手前開として椎名道三を用水見立方に命じ1839年5月に着工した。翌年の宇奈月谷ー別所間の通水に続いて、1841年9月に尾ノ沼谷までの全長約24.2kmの十二貫野用水が完成した。この用水の特徴は、黒部川本流の水ではなく、尾ノ沼谷、宇奈月谷、分銅谷など黒部川左岸の小さな谷などを含めた谷水を取り入れており、雪解けに伴って上流の谷へと順次取水地点を移動する方法をとった。降雨時の水量増加に伴う用水路の決壊を防ぐため、「オトシ」と呼ばれる水を捨てるための水門が各谷の下流側に設けられた。山腹と通る用水の維持管理は、毎年通水の前の用水補修や江ざらえ作業の他に、用水の見回り等が必要不可欠であった。昭和50年(1985年)から始まったかんがい排水事業の完成により、用水のトンネル化や暗渠化により水管理が容易になっている。平成18年農林水産省が選定した疎水百選に選ばれている。

位置図
(■1/50,000 □1/25,000 □1/10,000)
 
 
備 考
「十二貫野用水-黒部川扇状地における農業用水-」
佐藤寛・越前久松(1997)

「黒部川扇状地の農業用水誌」
佐藤寛・越前久松, p108-145(2000)

「十二貫野用水誌」
十二貫野用水土地改良区(1985)

「古絵図にみる黒部川の用水」
宇奈月町教育委員会(1993)

「桃源郷へのいざない-宇奈月町の民話と民具-」
宇奈月町教育委員会, p.39-42(2000)

「黒部川のあゆみ」
建設省黒部工事事務所, p.287-288(1977)

「県営かんがい排水事業十二貫野地区工事誌」
富山県(2006)

詳しくはこちら(フィールドマップへ)