流水客土
(りゅうすいきゃくど)

地区
新川
地域区分
 
テーマ
2
分野
農業土木

場所
 
所有者・管理者
 
電話番号
 
流水客土流水客土は周辺台地の赤土を水と混合し用水路を通して水田に引き入れる工法で、昭和26年度から昭和35年度にかけて黒部川扇状地・小川扇状地の5,522ヘクタールで実施された。
そもそも現在の扇状地は砂質の土壌で耕土も浅いため、水田を行うには地下への浸透量が大きく、用水から常に灌漑する必要があった。しかし黒部川は水温が他に比べて低いため、冷水温障害が度々発生していた。これによる対策として温水ため池や温照水路などがあったが、経済的に不可能とされ、旧扇状地の赤土を用水路により流下させて水田に客土する流水客土事業が注目を集めた。ただ、当時は小規模による試験段階であり、大規模な事業化は極めて無謀とされていたが、地元の強い要請により、現地での試験を経て昭和26年度より、わが国で最初の事業として行われた。赤土の採土地として、黒部川扇状地では左岸の名々久保(下立地内)および下流の宮野山、右岸の明日と小川扇状地右岸の南保が選ばれた。採土地において高圧水により掘削された泥と水が既設の用水路を流下させ各水田に引き入れられ、反当り15-35立法メートルの赤土が客土された。当時の記録では、翌年から地下への浸透量の減少や水温上昇に加えて、稲の収量が増加し、その効果が大きいことが示された。

位置図
(■1/50,000 □1/25,000 □1/10,000)
 
 
備 考
「富山県土地改良史」
富山県土地改良史編さん委員会,p.290-295(2004)

「魚津・黒部・下新川の歴史」
郷土出版社,p.224-225(2000)