権蔵橋
(ごんぞうばし)

地区
黒部市、入善町
地域区分
扇央
テーマ
2
分野
郷土史

場所
黒部市若栗、入善町小摺戸
所有者・管理者
 
電話番号
 
 黒部川扇状地の扇端部から扇頂部・愛本までの間に9つの橋が架けられています。この中の2つがJRで残りは国道、県道などです。歴史的に古いのは愛本橋ですが、櫻井橋(現在の黒部大橋)や権蔵橋が近代国家建設に向かっていた扇状地の発展に大きく寄与しました。これらの橋で人の名が冠せられているのは権蔵橋だけで県内でも珍しい橋です。
 権蔵橋は黒部川の右岸小摺戸村と左岸の若栗村を結ぶ橋で大正5年に県事業で黒部川に2箇所の吊橋を架けましたが洪水であっさり破壊されてしまいました。これを目の当たりにした、元衆議院議員、三日市町長の寺島權蔵が昭和7年に長さ108m幅1.8mの吊橋を建設しましたが、2年余りで流出してしまいました。權蔵はこれにめげることなく昭和12年木橋(長さ541m、幅8m)の設置に努力したこの橋は現在の橋の礎となりました。橋の名は権蔵橋と冠されました。その後幾多の洪水に補修を重ね、昭和30年代頃から鉄橋化、トラス化が進み、洪水に対する備えは十分に確保されていきました。現在の橋は平成14年に架け替えられ現在に至っています。左岸の橋のたもとにはトラス橋の一部が展示されています。寺島權蔵は黒部川の治水として愛本に堰堤を設置するために国や県に働きかけ、黒西合口用水の完成に導きました。水田・発電などの利水に結びつけ、近代における黒部川流域の発展に尽力した一人です。
(みずはく「地域学芸員」記)


位置図
(□1/50,000 ■1/25,000 □1/10,000)
 
 
備 考
「語りつぎたい黒部人」 黒部市教育委員会
「黒部川扇状地」 黒部川扇状地研究所
「富山県黒部川用水事業実施平面図」 黒部川用水事業誌・富山県

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