あらゆる生命に恵みをもたらす雨や雪。その雨や雪が酸性雨や酸性雪となって地上へ降っています。酸性雨や酸性雪が長い間続けば、森林が枯れたり、湖沼の魚が死滅したり、コンクリートや大理石でできた建造物を溶かしてしまうなど、大きな影響をもたらすと考えられます。自分たちの目で身近な環境汚染を監視するために、2001年12月より新川広域圏に降る雨や雪の実態について調べています。調べた結果 については順次公開していく予定です。


pHってなに?
 酸性雨を調べるときの大切な指標の一つがpH(ピーエイチ、ペーハー)です。pHは、「水素イオン指数」といって、酸とアルカリ(塩基)のバランスで決まります。 身近なもののおよそのpHは次の通りです。自分たちの頭の上に降っている雨はどんな雨かな?


日本全国26地点で観測された降水の年平均pH:4.6〜5.7
(環境庁酸性雨対策第三次調査、1993〜1997年)
富山県小杉町で観測された降水の年平均pH:4.8
(平成13年版富山県環境白書、2000年)
立山・室堂の積雪(6m)の平均pH:5.1
(立山積雪研究会、2001年3月)
三宅島火山ガスの影響を受けた降水のpH:3.25
(横浜市環境科学研究所、2001年9月5日)


pHと酸性雨
 純水の水(蒸留水)はpH7の中性ですが、大気中の二酸化炭素(約350ppm)が溶けこむと水のpHは約5.6を示します。一般 に、人間活動によって放出された汚染物質の影響を受けてpH5.6よりも低い値を示す雨や雪を酸性雨や酸性雪といっています。しかし、南極にある約2千年前の氷のpHが5.3程度であることや、人為的な環境汚染源から遠く離れた地域で降る雨のpHが5.0〜5.5程度であることを考えると、pHの値が5よりも低いときに酸性雨というほうがよいという考えもあります。酸性雨はpHだけで判断するのではなく、どんな物質が雨や雪に溶け込んでいるかが重要なのです。


富山で被害は出ているの?
 高速道路沿いなどで枯れたスギの木を見ることはありますが、酸性雨や酸性雪の影響なのかどうかはまだわかっていません。
  身近なところでは、pH4以下の雨が降るとアサガオに白い斑点が出ることがあります。 また、古い建物や高速道路の下などの壁や軒下に「つらら」のようなものが下がっているのを見たことはありませんか。これは割れ目から入った酸性雨が、コンクリートの成分(カルシウム)を溶かしながら外に出て、空気中の炭酸ガスと反応してできた炭酸カルシウムが「つらら」のようになったと考えられます。「酸性雨つらら」という場合もありますが、つらら自身が酸性雨の塊というわけではありません。
  新川地域で「コンクリートのつらら」を見つけた方は水博物館に教えてくださいね。